ジャンクフードと同じように ジャンクシューズ、と わたしどもが呼んでいる靴があります。 たまには楽しいジャンクフードも、 子どもたちに毎日それだけを 食べさせていたら、 体はどうなってしまうでしょう? 「食べ物」 に、体によいもの、 あまりよくないものがあるように、 「靴」 にも、体によいもの、 あまりよくないものがあります。 それは機能性シューズと、 ジャンクシューズです。 では、 ジャンクシューズ「だけ」を履いていたら 子どもの体はどうなるでしょうか? 例、小学校1年生女児の使用比較。どちらのお子さんも京都市内在住で生活範囲の路面環境に大きな違いはなく、体格差もほとんどありませんでした。 ※有名メーカーだからジャンクでないとは限りません 足のレントゲン写真です。 左が大人、右が子ども。単に大きさだけではなく骨の数や関節の違い、子どもの足の未成熟さというのがよくわかります。初めて見た方は 『子どもの骨はくっついていない』 と驚かれるのですが、これは骨が離れているのではなくレントゲンには軟骨部分が写らないためです。 完全に骨化していないこの未完成の足を、成長の中で変形などさせず整えてあげたいのです。 子どもの成長には 適量な運動が欠かせません。 屋外での運動が減ると 丈夫な骨が形成されず、 また成長過程で筋肉が発達しなければ、 整った骨格はつくられないからです。 弊社のお客様よりいただいたお写真。靴は左から、ウルリ、スポーツ5、スターライト。 ・ 「歩行」はヒトの基本運動です。 現代ではベビーカーなどの多用、 通園・通学もバスや車が多くなり、 成長に必要な歩行機会を失っています。 こうした移動手段、 また遊びの変化により、 40年前は一日22,000歩だったのが、 15年前では半分以下。 では現在なら? 東京都教育委員会「都内公立学校の全児童・生徒を対象とした統一的な体力・運動能力、生活・運動習慣等調査.2012」より。現在の小学校5年生のデータはありませんが、幼児は2020年で2〜6割減、成人は一日3,000歩未満が約3割に激増。 ・ また、足底アーチ(土踏まず。運動の要) がきちんと形成されているのは、 10人に2人しかいないというデータも。 2018年 京都市私立S幼稚園調査/伊藤笑子 道路環境の悪化と聞けば、 きれいに舗装されているじゃないかと お思いでしょう。 しかし実はそれこそが 未成熟な子どもの足にとって大敵。 快適な現代生活に欠かすことのできない道路舗装。宅地であれば都市部、地方関係なく、もうほぼ何らかの舗装がされていると言ってよいでしょう。 ・ 歩けば歩くほど足を痛める舗装環境が、 長い年月を経て (サイレントキラー) トラブル化につながっていきます。 こうして子どもの足を取巻く環境は、 運動機会の喪失、足を痛める路面と、 二重に悪化しているといえます。 西欧では古くから石畳が多く、 それは車両通行や衛生面の問題から 文明とともに広がっていったのですが 一方で、硬い路面は人体の足に負荷が かかりすぎることがわかっていました。 ですから靴の文化が発達し、 子どもたちに履かせる靴もまた 健康な歯、姿勢、歩き方と同等に 親が与える大切な物とされてきました。 そのような背景から、 子どもの足を守り、丈夫に育てる 「機能性のある良質な子ども靴」が 発展してきたのです。 左は世田谷の住宅地。右はドイツ・ブレーメンの街。弊社伊藤撮影。電動車いすは筆者。 ・ 現在の日本の歩行環境を見渡せば 昔ながらの履き物感覚では、 子どもたちの足を守れないのは 明らかです。 市場にはたくさんのジャンクシューズがあふれており、なかには子どもの足によいと銘打たれたものもありますが、はたして本当にその機能を満たしているのか、見きわめなければいけません。 ・ それでは考えてみます。 子ども靴はあっという間に 小さくなるから すぐ買い換えなきゃいけない だからお金をかけられない、 というイメージ。 実際にはどのくらいの サイクルかというと、 思っていたよりも多いでしょうか? または、─── 少ないでしょうか? これが実際のコストです。 節約だと思って安いものを購入し、 品質が悪く結局高額となってしまう。 まさにこのことではないでしょうか。 NEXT PAGE >